【こんな症例も治りますシリーズ 532】 ワンちゃんの『 血便 』も 適切な診断と治療で治します

上の内視鏡写真は、肛門近くの大腸のポリープです。
■ 左側が治療前の写真で、沢山のポリープがあります。
■ 右側は、治療後の内視鏡写真で、ポリープが治りかけています。

 

ミニチュアダックス 15歳 オス(去勢済み)

 

 

【 血便が続く 】ということで来院されました。

 

 

 

◆◆ 便検査をしてみると、赤血球が出ていますが、腸内細菌叢はそんなに悪くなさそうです。

 

 

■ 指での、直腸検査をしてみると、シコリが触れました。

 

 

★ 直腸の腫瘍性病変による出血が疑われます。

 

 

 

■ 次の検査として、内視鏡検査、同時に病理組織生検を行いました。

 

 

■ 内視鏡検査をしてみると、肛門から1センチほどの距離で直腸内腔を腫瘍が占めています。

 

 

 

■ 犬の腸の腫瘍は、腺癌、リンパ腫、平滑筋腫瘍、GIST(消化管間質腫瘍)が多いのですが、直腸内腔にこのように出てくる腫瘍だと、腺癌が考えられます。

 

 

 

 

 

 

◆◆◆ しかし、ダックスフンドという犬種では『 良性の炎症性ポリープ 』も良く大腸に出現します。

 

 

 

■■ 病理診断検査の結果は、『 炎症性ポリープ 』でした。

 

 

■ 直腸腫瘍では、プルスルーという手術方法で直腸粘膜を切除しますが、この炎症性ポリープは免疫抑制剤に良く反応することが多く、飼い主様も直ぐには外科手術を希望されませんでしたので、まずは内科治療での管理としました。

 

 

■ まず、副腎皮質ホルモン(ステロイド)を使用して、再度直腸内視鏡を再度行うと、ポリープがかなり減少し、腸管の内腔がしっかり見えるようになってきました!

 

 

 

■ もう便に血がつくこともない、との事でしたが、ポリープが全て消えたわけではないため、もうしばらく別の免疫抑制剤を追加した治療を行う事としました。

 

 

 

 

 

■ 副作用に気をつけて、今後もしっかり経過を見ていきたいと思います。

 

 

 

 

獣医師 増田正樹

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